容積率の緩和→地下室の分だけ建物の面積を広くできる

地下室が欲しいけど、実際に作ると踏み切れないなぁ
防音室になるメリットの他に何かメリットはあるのかなぁ

地下室は法律ではどう規定されてるんだろう?
法律的にメリットはあるのかな?

地下室のメリットには、
防音室や隠れ家的な部屋になるなど
空間的なものあります

しかし地下室には、それだけではなく、
法律的にも
建物を広くできるというメリットがあります

この記事では、
地下室の法律的なメリットについて
できるだけ分かりやすく解説します

この記事を読むと、
地下室を作ることのメリットが建物全体に及ぶことが分かります

地下室の分だけ床面積を広くすることができる

建物に関して基礎となる法律
建築基準法

建築基準法では、
土地ごとに容積率というものが定められています

容積率とは、
『敷地面積に対する建物の立体的な容積比率』
のことです

簡単に言うと、
「土地の広さがこれだけだから、家はこの広さまで!」
と法律で決められています

しかし、地下室はその広さに含まれません

すこし、分かりづらいですが
「法律的な家の広さの上限」+「地下室の広さ」
まで家を広くできるんです

もちろん、条件がありますが、家を広くできるのは地下室の利点のひとつです

では、条件について説明します

地下室の広さは容積率の計算に含まれないので、広い家を建てることができる

容積率とは

住宅地で、家がぎゅうぎゅうに詰まっていると

  • 火災が発生するとたくさんの建物に火が広がる
  • 風通しがわるい
  • 日当たりがよくない

と、よくないことが多いです

それを避けるため、
建築基準法で容積率定められています
(建ぺい率も同じ理由です)

法律としては、1938年に導入された「空地地区制」ではじめて導入されました
導入された当時は、火災の延焼防止と防空という目的がありました

容積率は、
容積率(%)=延床面積÷敷地面積×100(土地の面積に対する建物の床の広さ)
で算出されます

たとえば、
土地の面積が100㎡で容積率60%の土地の場合
2階建ての建物を
1階:40㎡
2階:20㎡
このように、合計の床面積を60㎡以内にしなくてはいけません

そして、容積率は、用途地域によって土地ごとに決められています

用途地域容積率(%)
第一種・第二種低層住居専用地域50 60 80 100 150 200
第一種・第二種中高層住居専用地域
第一種・第二種住居地域・準住居地域
近隣商業地域・準工業地域
100 150 200 300 400 500
商業地域200 300 400 500 600 700 800
900 1000 1100 1200 1300
工業地域・工業専用地域100 150 200 300 400
用途地域の指定のない地域50 80 100 200 300 400


用途地域とは、
計画的に都市を形成するために、土地の使い方を法的に決めているもの

この表を見ると、
一般的な住宅を建てるための土地は、
商業用地や工業用地に比べて容積率が低い
ことが分かります

なので、欲しいと思った広さの建物は作れないこともあります

容積率建物の広さを制限するもので、用途地域ごとに法律で定められている

地階は容積率に算入しない

1994年に建築基準法が改正され、
地階が容積率の緩和をされました

建築基準法第52条3に、
地階は容積率に算入しない
と規定されています

しかし、そのためには条件があり

①「床面積の合計の三分の一を超える場合においては、床面積の合計の三分の一
②「地階でその天井が地盤面からの高さ一メートル以下にあるものの床面積は容積率に算入しない

と大きく2つが決められています

この2つの条件を
分かりやすく説明します

地階とは

地階は、①の条件にも②の条件にもかかわっている
地下室とは意味が異なる法律用語です

地階については、
建築基準法施行令1条2に定められています

法律上、地階とは

床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの1/3以上のもの

となっています

図で示すと、

このときに、aがbの1/3以上の高さ

こういうことですね

地階とは、

  • 床が地盤面より下
  • 床から地盤面の高さ床から天井の高さ1/3以上

の階

地盤面とは

地階を規定する際に地盤面の高さが重要でした

地盤面とは、単に土地の表面を意味する言葉ではありません

法律上、地盤面は

周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面

となっています

地盤面については、
建築基準法52条4に定められています

つまり、

こういうことです

斜面となっている土地では、地盤面が高くなるので地階とする際には注意が必要ですね

一般住宅ではあまり関係ないですが、
「高低差が三メートルを超える場合においては、その高低差三メートル以内ごとの平均の高さ」
とも定められています
この条件は少し複雑ですが、条件によってはB1は地階でB2は地階ではない、なんてこともありえます
地盤面は、
周囲の土地と接する土地の高さの平均

容積率の緩和には上限がある

容積率に算入しない地階の広さ、
には上限が定められています

それが、①の条件
「床面積の合計の三分の一を超える場合においては、床面積の合計の三分の一」
です

これは

建物すべての広さを合計した際に、
地階の広さがその1/3を超える場合、
容積率に含まない地階の広さの上限は1/3

というものです

たとえば、
地階:60㎡
1階:70㎡
2階:20㎡
の建物の場合、

建物すべての広さの合計:150㎡
建物のすべての広さの合計の1/3:50㎡
地階:60㎡

このとき、
地階の面積60㎡すべては容積の緩和をされず
50㎡が緩和される

となります

地階を広くしたい、という場合は注意が必要な条件です

地階であることだけが条件ではない

容積率の緩和されるためには、地階であることだけが条件ではありません

それが条件②
「地階でその天井が地盤面からの高さ一メートル以下にあるものの床面積は容積率に算入しない」
です

これは、地階であってさらに

天井が地盤面から1メートル以下の高さ

であることが条件というものです

容積率の緩和を受けるためには

  • 天井が高
  • 地盤面の高さ

に注意が必要です




床面積での地下室の利点

いくつかの条件を満たすことができれば、
地下室の広さの分だけ建物を広くできます

地下室は、
建物の広さを増やす大きな利点
となります

人生設計をよく考えて、
自宅に広さが必要なのであれば地下室は有効な手段です

まとめ

地下室には空感的なメリットだけではなく、
法律的に建物を広さの上限をあげられる
というメリットがあります

条件を満たせば
容積率に含まない広さとなるため
上限はありますが、
地下室の広さのぶんだけ、建物を広くできます

以上となります

この話が、地下室が欲しい、地下室に興味があるという方の参考になればと思います

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